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少年法61条の適用範囲と報道の自由について!罰則はないの?

少年法61条の適用範囲と報道の自由について!罰則はないの?

先月発生した川崎の中1生徒殺人事件を巡り、逮捕された少年の実名報道を巡り「週刊新潮」が逮捕された少年の実名と顔写真を掲載しました。

これは少年法61条に違反しているのではないのか?その適用範囲はどこまでなのか?少年法61条に違反しても罰則はないのか?報道の自由はどこまで許されるのか?という事について述べていきたいと思います。

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少年法61条とはどういう法律なのか?

 

少年が容疑者になる事件が起こった際に、多々問題となる「少年法61条」。

一体どういう法律なのか?また、このどういう意図でこの法律は成り立っているのか?について述べていきます。

 

少年法61条条文 (記事等の掲載の禁止)

 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

 

 

何故このような法律ができたかというと…

 

○少年のその後の社会復帰を妨げる恐れがある。

○少年やその家族のプライバシーを保護するという観点から。

○少年に限らず犯罪者の実名、顔写真を報道する事が、そもそも必要なのか?という疑問。

 

などが、考えられるでしょう。

 

ちなみにこの「少年法61条」に違反しているとして問題になった事例は、今回の川崎の事件の他にも次のような事例があります。

 

○1988年発生した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」

「週刊文春」が「野獣に人権はない」として実名報道。

 

○1997年発生した「神戸児童連続殺傷事件」

「フォーカス」が顔写真掲載。「週刊新潮」も目隠しで顔写真掲載。

 

○1998年発生した堺市通り魔殺人事件

「新潮45」で顔写真と実名が掲載。 他、多数。

 

なぜ「少年法61条」があるのにこの様な報道がなされるのでしょうか。

以下に、少年法61条についてもう少し掘り下げて述べていく事にします。

 

 

「少年法61条」に違反した時の罰則は?報道の自由の適用範囲とはどこまでか?

 

「少年法61条」に対して、憲法21条では「表現の自由」を認めています。

「表現の自由」はしばしば「報道の自由」とも置き換えられます。

 

表現行為のうち、特に国民に対して事実を伝える媒体である新聞やテレビなどマスメディアが国民の「知る権利」に対して大きな役割を果たしているところから、憲法21条が認めている「表現の自由」の中には当然「報道の自由」が含まれていると考えられています。

 

この少年法61条と憲法21条の法律上の対立はしばしば問題になります。

 

ちなみにですが、少年法61条に【罰則規定はありません】

ただし、【表現の自由】をたてにすれば何でもアリか?というとそうでもありません。

 

上述した事例ですと、自主的に販売を中止する小売店が相次いだり、法務省による回収の勧告が出されたりしています。

1998年発生した堺市通り魔殺人事件では、加害者側から名誉毀損に基づく損害賠償と謝罪広告を求める訴訟が提起されています(ただし、原告側の敗訴)。

 

「実名」と「顔写真」が掲載されたからと言って、小売店が自主回収したり、関係省庁や地方公共団体によって回収の指示が出され、名誉毀損の訴訟リスクも伴う。しかも、このご時勢、週刊誌よりも先にネット上で犯人グループの顔写真と実名は晒されている…。

(それがいい事とはいっていませんので、誤解のないように)

 

冤罪であるかもしれないという可能性も考えていくと、出版社にとっては、少年犯罪者の実名や顔写真を掲載することは必ずしも「得」しないことだと思うのです。

 

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ちなみに今回の川崎の事件で実名報道をした新潮社と、それに対する日弁連の見解、更にそれに対する世間の反応はこちらです。

 

週刊新潮編集部は取材に対し「事件の残虐性と社会に与えた影響の大きさ、少年の経歴などを総合的に勘案し、実名と顔写真を報道しました」とのコメントを出しています。

 

この事件は社会に対して影響が大きいから伝えていいというのを、「あなた」が判断していいの?という疑問もあります。また、被害者があれだけ晒されているのに、加害者側が実名報道されないのはアンバランスじゃない?という疑問に対しては…

 

「被害者」をあれだけ晒しのものにする事自体が異常。だと私は思うのです。「報道の自由」だからと言ってあれだけの個人情報を出す必要があるのでしょうか?というのは一度考えてみていただきたいのです。

 

ただ、この【少年法61条に罰則規定を設けるべきだ】という意見に関しては、表現の自由を守るという観点から見ても疑問です。例えば、次の様なケースを考えてみましょう。

 

殺人事件の「有力な容疑者」が少年であり、逃亡中。

 

「情報提供を求める為に、実名報道する」事は有効だと思いませんか?

 

…確かに、そうだ!と思われた方、少し思い出して欲しいのです。今回の川崎の事件でも、「あいつが犯人だ!」と容疑者の少年が警察に逮捕される前にインターネット上に実名と顔写真が出回った事を。

 

誰もが情報の発信先となりうる今、他人の意見や情報を鵜呑みにせず、少し立ち止まって考えてみる事が必要だとも思うのです。

 

 

「少年法」が出来た時には、今の様に誰もが情報を発信できる世の中が来る事など想像も出来なかったと思うのです。それだけに私達も情報の取り扱いには十分な注意が必要だと思うのですが、いかがでしょうか。

 

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